Day: June 19, 2024

不動産流通とIT革命の融合で誕生したランドネット急成長の秘密 – Cyber Tech

大手不動産会社での経験が独立へのきっかけに DX(デジタルトランスフォーメーション)はあらゆる産業で積極的に推進されているが、不動産業界は複雑な業務プロセス、法的課題、業界の風習が大きな障壁となっており、DX化を進めていくことが難しいという。 LIFULL HOME‘s(ライフルホームズ)が不動産会社向けのサービスを提供する6社と共同で行った「不動産業界のDX推進に対する実態調査」(調査実施期間は2023年4月3日~4月21日、回答数は518人)では、DXに取り組んでいない企業は全体の46.5%、DXに取り組んでいない理由の半数近くが「取り組む必要性を感じていない(48.5%)」からだという。 このような中でいち早くデジタル化を進め、収益拡大を続けているのが中古のワンルームマンションやファミリータイプの投資物件を手掛けるランドネットだ。 多くの不動産業者は仲介業者を通して物件情報を入手するが、ランドネットは違う。売り手から直接、物件を買い取るため(直仕入れが72%)、売り手にとっては迅速に物件を売却することができる。さらにランドネットは直接買い付けをしている上に、リフォームから、ローン契約、保証、販売まで一手に行うことができることから、買い手は割安価格で物件を入手することができる。売り手にとっても買い手にとってもメリットのある仕組みを構築しているのである。しかも取引は日本全国どこでも可能だ。 こうした仕組みを支えているのが営業支援システムと独自で開発したデータベースだ。 「営業支援システムとデータベースによって、どんな物件でも取引事例が即座にわかります。お客様との会話も物件の場所もわかります。その上でお客様と話をするので当然仕入れ力は高くなり、良い物件が集まるわけです」 ランドネットの榮章博社長はこう説明する。 1999年の創業から急成長を続け、投資用ワンルームマンションの取引高・契約件数では業界トップクラスに成長した。ランドネット急成長の秘密とはいったい何なのだろうか。 業務フローづくりとWindows 95の登場が独立のきっかけに 榮氏は大手マンションデベロッパー、大京での経験が新会社設立の大きなきっかけとなったという。 榮氏は2浪して中央大学法学部に入学、4年から司法試験を目指すが、択一には合格するものの論文試験には合格できず、27歳で司法の道を諦める。 その後大学の先輩の誘いで、1987年に大京に入社。配属されたのは大京の不動産流通部門を担っていた新宿支店の経営企画室だった。 大京では新宿支店を分社化して上場を目指すというプロジェクトが進められていたことから、榮氏は上場準備を担当した。新宿支店は1988年、大京の100%子会社、大京住宅流通(現大京穴吹不動産)として生まれ変わった。 「ここで宅地建物取引業の免許取得や、会社・組織づくり、上場のノウハウなど多くのことを学ばせていただきました」(榮氏) 大京住宅流通で業務フローをつくり、システム部でそれをマニュアル化するための仕組み作りをした経験は独立するための大きなきっかけとなった。 上場準備などの管理部門やシステム開発の仕事を6年ほど勤めた後、営業部門に異動。ここでは「マンション販売の成績でナンバー2になったこともありました」(榮氏)。 1995年、Microsoft Home windows 95(マイクロソフト ウィンドウズ 95)が発売されると、インターネットが一般家庭にも広く普及するようになり、本格的な「IT革命の時代」が到来することを告げた。 「デスクトップパソコン一台あれば、これまで携わってきたシステムの開発が一人でもできてしまうのではないだろうか、と考えるようになりました」(榮氏)...
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